LABORATORY熱の実験室

 ● ヒーターで加熱

 熱源の温度が低いほど、放出する赤外線のピーク波長は長くなります。そのため、温度が変わると加熱されやすさが違います。熱源温度5780K(ケルビン)の日光とは全く違ってきます。次の6種類の熱源(ヒーター)温度で加熱しました。室温は約24℃でした。
熱源温度[℃] 60 85 120 200 340 680
ヒーターと物質の距離[mm] 20 45 70 85 90 310
ヒーター シリコンラバーヒーター ハイレックス
 これは、熱源温度が最も低い60℃のときのグラフです。日光の場合と同様、物質表面から銅板への熱伝達しやすさがバラバラなので、温度上昇カーブの比較は意味がありません。
 アルミ箔だけが温度上昇が小さく、日光のエネルギーを吸収しにくい白い物質が、赤外線は吸収しやすいことがわかります。その中で放熱シートは一番温度が高くなっていて、黒艶消し塗料を明らかに上回っています。マグネシアは一番低く、省エネ塗料は中位です。
放熱シートの性能
 「60℃の熱源からの赤外線を吸収しやすい(放射率が高い)」 = 「この温度のときに熱を赤外線として放出しやすい」、ということです。放熱シートは一番温度上昇が大きいので、放熱性能が一番ということができます。同じ発熱量の電子機器に貼った場合に、一番温度が低くなるわけです。ただし、ずば抜けた放熱性能が期待できるわけではありません。
省エネ塗料の性能
 低い温度の熱源で加熱されにくい(放射率が低い)ほど、気温が低いときの放射冷却による温度低下が小さくなり、性能が良いことになりますが、そのような特性は確認されませんでした。