LABORATORY熱の実験室

 

 ● 熱源のピーク波長と加熱特性

 各熱源は、温度が異なりますので、放出する電磁波の波長が異なります。
  A: 日光 B: ハロゲンランプ C: ハイレックス D: シリコーンラバー 0.6 E: シリコーンラバー 0.3
絶対温度 [K] 5780 2800 873 473 398
ピーク波長 [μm] 0.501 1.035 3.319 6.126 7.281
 ヒーターも含め、物体は、その持っているエネルギーを電磁波として放出します。その大きさと波長は温度によって変化して、黒体(表面に到達する放射エネルギーを全て吸収する物体)の場合、波長によるエネルギー:Eλは、Planck(プランク)の法則に従います。
Eλ = C1 / (λ5(eC2/λT-1) )  C1, C2は定数、eは自然対数の底、Tは絶対温度[K]

 この法則による計算値から、ピーク波長のときを 100%としたのが、下のグラフです。実際には、各物質は黒体ではありませんが、波長分布の傾向としてはこんな感じです。

 ピーク波長は、温度が高いほど短くなり、Wien(ウィーン)の変位 則という、次の式に従います。
λ = 2897.8 / T [μm]
 このピーク波長と、各物質の「8:黒艶消し塗装」を100とした加熱されやすさの関係を現したのが、次のグラフです。
 日光の短い波長で加熱されにくいのは、1:アルミ箔も白い物質も同じですが、長い波長では、全く異なっていることが良くわかります。2:マグネシア以外の白い物質は、8:黒艶消し塗装より加熱されやすくなっています。
 白い物質の中では、セラミックス材料の2:マグネシアは加熱されにくく、長波長での低下がありません。5:発泡スチロールは他とはカーブが異なっていて、中位の波長で低めになっています。

 ● 実験の感想

 可視光線を吸収しにくいので白く見える白い物質が、長波長の赤外線は吸収しやすいのではないか、と推測して実験を始めましたが、こんなに極端に差が現れるとは思っていませんでした。人間の目は可視光線の範囲しか見えないので、白は同じ白にしか見えませんが、赤外線でも波長の違いを色として感じることができるとしたら、全然違う色彩が見えると思います。白がいろいろな色に見えるのかも知れません。