LABORATORY熱の実験室

 
 ● 実験結果について

 今回の温度測定での、放射冷却による温度低下の最大値は4.4℃でした。驚くほど大きな値ではありませんが、寒い/暑いという違いは充分感じ取ることができる程度の温度差です。

 ● 熱量の計算

 最も放射冷却が大きく見られた、1月19日21時10分の温度は、次の通りです。

外アルミ

外黒

屋根アルミ

屋根黒

気温

地中

-1.7℃

-4.9℃

-1.1℃

-1.9℃

-0.5℃

5.4℃

 [気温]の-0.5℃を基準にすると、[外黒]は放射冷却で4.4℃低い-4.9℃になっています。[外黒]のアルミブロックは、電磁波(赤外線)としてエネルギーを放出し、同じだけのエネルギーを、大気から自然対流熱伝達で受けているはずです。

 実験に使用したアルミブロックは、下面が一部開放(対流による吸熱はあるが、放射による放熱はない)なので、吸熱する面積の方が大きくなっています。

  • 対流吸熱する面積: 160cm2
  • 放射放熱する面積: 120cm2
  • 自然対流による熱伝達率: 7W/m2K
  • 黒色塗装表面の放射率: 0.9

 とすると、大気から0.49W吸熱している計算になります。次に、[外黒]表面(120cm2)から同じ熱量を放射する場合、放射する先の空は-16℃と見えている計算になります。
 下面を完全に断熱した1m2の面で考えると、この条件で-5.8℃になり、伝熱量は37.5Wになります。逆に、下面が開放だと-3.8℃になり、伝熱量は46Wになります。なお、計算には Q&Aキット の「★熱の計算-放熱」を使用しています。

 ● まとめ

 実験中の1日目・2日目の夜間は快晴に近く、風もほとんどない気候だったので、放射冷却の現象は良く測定できました。標高が高い山の上で実験すれば、空はずっと低い温度に見えるので、もっと顕著に現れるはずです。
 放射冷却による伝熱量も、面積が大きいと、かなりの量になります。何かの冷却に利用できるかもしれません。