● 実験結果について

 始めのページのグラフから、100W/cm2 を少し超えると膜沸騰の危険な状態になるのでは? と思い実験したところ、断線したのは 600~800W/cm2 という高いワット密度になりました。 これは、φ0.26 の発熱線 120mmでも、588W~784Wという発熱量になります。

 サブクール膜沸騰

 今回の実験では、水の温度をコントロールしていませんが、断線時点で 40~60℃になっています。始めのページのグラフは飽和沸騰の場合ですが、沸点より温度が低い液体中で、高温の熱源に触れて沸騰している状態は「サブクール沸騰」と呼ばれます。
 サブクール沸騰では、発生した気泡は低温液中で冷却されることにより凝縮し、縮小あるいは消滅します。膜沸騰状態での「サブクール膜沸騰」では、飽和膜沸騰よりも熱伝達が良くなります。沸点より 40℃低い場合には約 2倍になるようです。始めのページのグラフはピークが約 150W/cm2 ですが、2倍では 300W/cm2 になります。

 振動の影響

 φ0.26の発熱線を使った実験では、断線時の水温はかなり高くなっていましたが、790W/cm2 と高いワット密度まで達しました。サブクール膜沸騰で熱伝達が良くなっているとはいえ、それでも高く感じます。
 試験中の発熱線は激しく振動し、超音波洗浄器のような大きな音が発生していました。実際に、水面 に油分も浮いており、超音波は発生していたようです。発熱体の周囲の水が流動していると熱伝達が良くなりますが、発熱体が振動していることにより、同様の効果 を得ていたのではないかと考えられます。また、振動が安定した蒸気の膜が発熱線表面 に形成されるのを妨げて、薄い膜の部分の熱伝達が良くなり、限界が上昇する現象もあるのではないかと思いました。

 ● まとめ

 実験前に予想していたよりも、高い限界になりました。飽和沸騰の場合のグラフしか頭にない状態で始めましたが、膜沸騰時の振動による大きな音の発生、サブクール沸騰での大きな熱伝達の状態を知ることができました。