LABORATORY熱の実験室


 ● 実験結果について

 実験日の気温が高くて、キツイ寒さを体験できず残念でしたが、ひとつ、思っていなかった結果が得られました。それは、発泡スチロールが、太陽光線の下でも気温より低い温度を保つことです。
 白く見える物質と言うのは、例えばセラミックス材料のジルコニア、アルミナ、マグネシアなど、可視光線から2μmくらいの近赤外線の波長では、放射率が0.2くらいと低くて、そのため白く見えます。ところが、そこから長波長域になるとどんどん放射率は高くなって、10μmでは0.7くらいまで上昇します。白い樹脂材料については、そのカーブがどうなっているのか知りませんが、「白く見える = 可視光線は吸収しにくい」 「樹脂材料全般として遠赤外線を吸収しやすい = 長波長域では放射率が高い」 ということで、同じような傾向はあるはずです。
  黒い物質 白い物質
太陽光線のエネルギーを吸収
自分のエネルギーを赤外線として放出
 可視光線から遠赤外線まで、放射率が全体で高い「黒い物質」と比較すると、上のようになります。日向では熱くて日陰では冷たいという、わかりやすい「黒い物質」に対して、日向でも日陰でも冷たいという、ちょっと不思議な性質になります。この辺は、もう少し実験で確認してみたいと思います。
 夜になると、太陽光線のような吸収するエネルギーがなくなるので、前のページのゴール地点のように、「黒い物質」も「白い物質」も同じように放射冷却で冷たくなります。これについても、ただでさえ寒い標高の高いところで、どのくらい冷たくなるのかは、一度実験したいとは思っています。それには、エスハイの中で夜を明かさなければなりません。AC100Vがあるので、電気毛布でも使って寒さはなんとかなりますが(エアコンのファンを止めてしまえば、エンジンは時々しか回らないはず)、エスハイの車内は広いようでも、電池の上に載った固定の3列目シートがじゃまで、まともに寝る場所がないのが、ちょっと気が進まないところです。エンジン始動時のブルッという振動も、睡眠の大きな妨げになりそうです。