LABORATORY熱の実験室


 ● 加熱用ヒーターの製作

 タンク自体はできるだけ加工しないで、ヒーターを取り付けることができる方が便利です。ところで、購入したローリータンクは、上の中心にゴム製のフタが付いた約φ260の穴があり、下部にはドレン用の穴があります。タンクに穴をあけないでヒーターを取り付けるには、このどちらかの穴を使わなくてはなりません。上の穴は湯を入れるときに使うし、運搬時に湯が漏れないように密閉したフタは必要です。ヒーターがじゃまにならずに、密閉できる構造にするのは、けっこう大変そうです。
 下のドレン用の穴は、右の図のような寸法です。G1 1/2の管用ネジがタンクから24mm出ていて、中心にφ32の穴があります。ここに、そのままヒーターを取り付けたのでは、ドレンがなくなってしまい、湯を出すことができなくなります。温度コントロールをするには、温度センサーも必要です。ヒーター・ドレン・温度センサーの3つを取り付けるには、普通のプラグタイプのヒーターでは無理ですが、細いカートリッジタイプなら取り付けできそうです。
 ヒーターは、水用カートリッジヒーター「ステンレスウルトラW」の規格品、SLW6154をベースにして、非発熱部(プラグの下の発熱しない部分)を長くしたものを製作することにしました。温泉の成分で、シースが腐食したり、付着物が生じることもあると思いますが、温泉によって成分もいろいろなので、とりあえず規格品と同じ発熱部の仕様のものを使ってみることにします。
 ・定格:110V 1.5kW(100V使用で1.24kW) / ・発熱部のワット密度:7W/cm2
 ・シース材質:SUS316L(ステンレス) / ・シース外径:φ20
ヒーターは製作中です。この写真は別寸法の規格品です。
 取り付けの構造は、下の図のようになります。ヒーター/ドレン用コック/熱電対を取り付けるためのソケットを3つ溶接した部品が本体です。タンクの管用ネジには、本体取り付け用のネジが4箇所あるナットをねじ込み、ここにOリングを介して本体をボルトで固定します。ヒーターとコックはそのまま取り付けますが、温度センサーはφ1.6の細いシース熱電対を使用して、ヒーターに沿って曲げて、タンク内まで感熱部が届くようにする予定です。

 ● 試運転

 ヒーターより先に本体が完成したので、ドレン用コックとホースは取り付け、ヒーター用と熱電対用のソケットにはキャップをして、エスハイに積んでみました。水ならともかく、温泉の湯が漏れては大変なので、200リットルの水を入れて、試験走行してみることにしました。なお、ブレーキをかけた時に、タンクが傾いて上のフタの部分から漏れないように、樹脂製のコンテナをスペーサーとしてタンクの前側に置いてあります。 
 路面の凸凹でエスハイがゆれると、「ピチャッ、ピチャッ」という水の音がします。ブレーキをかけるのはOKですが、エスハイのカーペット敷きの荷室にポリエチレン製のタンクは滑りやすいようで、200kgの重量なので手で押しても動きませんが、ゆるいカーブの遠心力でも左右にタンクが滑って動いてしまいます。そのため、引き返して、下にゴムシートを敷き、タンクを荷造り用のバンドで荷室内のフックにしばり付けました。再度走行したところ、一応OKのようです。バンドをしっかり固定できないので、タンクが前後方向にゆれるとバンドが緩んでしまいましたが、ゴムシートの方の効果が大きいようでした。