LABORATORY熱の実験室


 ● 高原で沸点の測定

 昼間は暑いので、まずは、温泉の湯と純水を積んで、涼しい高原で測定することにしました。行った所は、須坂市にある「峰の原高原」です。峰の原高原といっても、どこにあるのかわからないひとが多いと思いますが、菅平高原のとなりというと、一番わかりやすいと思います。実際、○○菅平山荘とか、菅平と名が付いた建物が多くありますし、千葉県市川市の、菅平高原いちかわ村という施設もあります。
 須坂市の中心部から、国道406号線を上って行って、菅平高原に入る手前を左折してしばらく進むと、峰の原高原です。標高が1300m程度の菅平高原より上で、標高1500mを超えています。
 メインの道路を行くと、一番高いところを過ぎて道が少し狭くなります。実験をするためにエスハイを止めるポイントがないかと見ながら下っていくと、砂利が敷いてある、人気のない空き地?がありましたので、ちょうど良いと思い、バックしてエスハイを止め、実験をはじめました。後で地図で確認すると、この地点の標高は1495mくらいでした。
 ホットプレートDEMOの温度設定を350℃にして、「温泉の湯」「純水」が約0.4リットルずつ入った2つのフラスコを載せて加熱します。温度センサーの測温抵抗体は、治具でフラスコ中心に垂直に吊ります。センサーを接続したデータレコーダーで、温度を記録します。
 実験を開始してしばらくすると、遠くに子供たちの声がします。そういえば、ここに来る途中で、中学生らしき団体に会いました。何かいやな予感、だんだん声が近くなってきました。まもなく、中学生の集団が来てしまいました。「あった」という声。なんと、オリエンテーリングのチェックポイントの近くで実験をしていたのです。しっかりした感じの(成績が良さそうな)女の子が近寄ってきました。

中学生> こんにちは
私> こんにちは(しかたなく)
中学生> なにやってるんですか?
私> あ~理科の実験(適当に答えておこう)
中学生> 何の実験ですか?
私> (しかたない、不審者と思われて先生が来ないように、まじめに答えよう)この辺は標高が1500mくらいあるけど、標高が高いと水の沸騰する温度が低くなるの知ってるよね。それを実験してるんだ。こっちが温泉のお湯で、こっちが...
中学生>趣味でやってるんですか? 理科の先生ですか...

 などという会話になりましたが、オリエンテーリングの途中で忙しいはずなので、沸騰するかんじんな時間に引っかからず、早めに帰ってくれて良かったです。そういえば、理科の先生でもないのに、こんなところで実験しているのは不思議でも、本来電気がないようなところで、電気でお湯を加熱しているのは、不思議とは感じなかったようでした。
チェックポイント

ようやく帰ってくれました
実験No. 測定場所 標高 笹屋ホテル
温泉の湯の沸点
純水の沸点 温泉の湯の沸点
-純水の沸点
1 峰の原高原 1495m 96.4℃ 96.1℃ 0.3℃
 なお、長時間沸騰すると、蒸発で湯中の成分が濃くなっていきますので、沸騰が始まってから5分間の最高値を、沸点としています。この後の測定も同様です。
 測定場所の気圧はわかりませんが、このときの長野測候所(標高:418m、標高0mに換算した値)が1004hPa、軽井沢測候所(標高:999m)が899hPaから換算して、850hPa程度と推定します。気温は、約26℃です。
 実験が終わった後は、来たときと反対側、菅平高原を通って、上田市に下りて帰りました。

 右は、エスハイの窓越しに見える菅平湖(ダム湖)です。