熱の実験室 別館
エスハイ実験室 第1回

 エスティマハイブリッド(エスハイ)を使った実験室 

 ● はじめに

 現在、普通に走っている自動車は、DC12Vをシガーライターソケットなどから使うことができますが、大きな電力は使用できません。ところが、トヨタのエスティマハイブリッドは、車内に、家庭用と同じコンセントが2箇所あり、合計1500Wまで使用することができます。エスティマハイブリッドは、ガソリンエンジンと電気モーターを使用したハイブリッド車ですが、燃料電池車、42V化(バルブやエアコンコンプレッサー、ブレーキなどの駆動にも電気を使用する)などで、近い将来、すべての自動車が、車内で、現在よりはるかに大きな電力を使うことができるようになるはずです。
 電気製品の中でも、熱に関するものは消費電力が大きく、車内で使用できるものは限られていました。これから、車内で使用できる電力が大きくなって、熱に関する電気製品も車の中で使用できるようになると、新たな使用形態が生まれ、それに対応した製品が必要になるかもしれません。それが何なのか、まだわかりませんが、1500Wの電力が使用できるエスティマハイブリッドを使用することで、わかってくることがあるかもしれません。そんなことで、「熱の実験室 別館-エスハイ実験室」というものをスタートすることにしました。熱の実験室の別館なので、できるだけ熱に関係するものをやりたいのですが、それほどこだわらず、実験案などを、都度集めたりしながら、寄り道・回り道で不定期連載していく予定です。

 ● エスハイ(エスティマハイブリッド)の紹介

 これから実験をしていくエスハイ(エスティマハイブリッド)は、ボディカラーが涼しげなブルーメタリック(寒くなったらさわやかなブルーメタリック)の、標準グレードです。

■ 主要緒元

重量・性能 車両重量 1,850kg
最小回転半径 5.6m
燃料消費率
10・15モード走行(国土交通省審査値)
18.0km/L
寸法・定員 全長 4,770mm
全幅 1,790mm
全高 1,780mm
ホイールベース 2,900mm
トレッド フロント 1,545mm
リヤ 1,530mm
乗車定員 8名
エンジン 型式 2AZ-FXE
種類 直列4気筒DOHC
内径×行程 88.5×96.0 (mm)
圧縮比 12.5
総排気量 2.362L
最高出力 kW(PS)/r.p.m. 96(131)/5,600
最大トルク N・m(kg・m)/r.p.m. 190(19.4)/4,000
燃料供給装置 EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量 70L
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
フロントモーター 型式 1EM
種類 交流同期電動機
最高出力 kW/r.p.m. 13/1,130~3,000
最大トルク N・m(kg・m)/r.p.m. 110(11.2)/0~1,130
リヤモーター 型式 1FM
種類 交流同期電動機
最高出力 kW/r.p.m. 18/1,910~2,500
最大トルク N・m(kg・m)/r.p.m. 108(11.0)/0~400
動力用主電池 型式 ニッケル水素電池
個数 30
接続方式 直列
容量 6.5Ah (3時間率容量)
トランスミッション 種類 Super CVT(無段変速機)
変速比(Super CVT) 前進 2.396~0.428
後退 2.396~1.211
減速比 フロント 5.182
リヤ 6.311
走行装置 ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション フロント ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
リヤ トーションビーム式コイルスプリング(スタビライザー付)
ブレーキ 作動方式 油圧・回生ブレーキ協調式
フロント ベンチレーテッドディスク
リヤ ディスク
駆動方式 E-Four(電気式4輪駆動方式)
タイヤ 205/65R15 94H
 エンジンは、圧縮比が12.5と高くなっていますが、これはミラーサイクルと呼ばれる、吸気弁が遅く閉じることで、膨張比を圧縮比より高くする方式のためです。ガソリンエンジンの圧縮比は高いほど効率が上がりますが、ノッキングなどのため、むやみに高くはできません。吸気弁が遅く閉じると、圧縮行程で吸気の一部が吸気ポートに戻され、残りの吸気が圧縮されます。このエンジンの排気量は2.4Lですが、最大トルクは一般の2Lエンジンと同程度です。実質の吸気量は2L程度で、出力は低下するが効率を上げているエンジンといえます。
 普通の2WDエスティマより220kgも重い、1,850kgの重量級ボディに、2L相当の出力のエンジンでは、満足な加速は期待できませんが、それを補うのが、フロントとリアにあるモーターです。エンジンと2つのモーターの出力を合計すると127kWになり、普通のエスティマの2.4Lエンジンの118kWを上回ります。重量の違いの分までは補えませんが、モーターは低い回転でもトルクがあるので、加速時に有効なはずです。
 電池の容量6.5Ah (3時間率容量)というのは、6.5Aの1/3、2.17Aで3時間使用できる容量です。電圧は216Vのようですので、約470Wで3時間という計算になります。2つのモーターの出力の計31kWでは、単純に計算すると2.73分使える容量に相当します。モーターの効率、大電流では容量が低下する電池の特性、電池が通常時に満充電ではない、などからこれよりはずっと短くなるはずですが、短時間の加速では充分な容量です。