第2回 水用ヒーターの温度過昇防止・空焼き防止

登場人物 
 
近山 益三 : 新人営業マン
大松 敏生 : 近山が勤務する営業所の所長 技術面にも詳しい 

近山: 一つ...ぶつぶつ、、、二つ...ぶつぶつぶつ、、、
大松: 近山君、何かを唱えているようだけど。。。儲かる呪文だったら僕にも教えてくれよ。
近山: またまた、からかわないでくださいよ。真面目に考えてるんですから。
大松: じゃあ、聞こえるようにもう一度言ってみてよ。
近山: 一つ...ヒーターで水を40℃に温調する。
二つ...容器が樹脂なので、空焼きしても危険がないように。
三つ...絶対に60℃以上にならないように。微生物が死んでしまう。
大松: 水用ヒーターのコントロールについてだね。
近山: 40℃で温調して、微生物を活性化させるということなんですが、「万が一にも60℃以上になっては困る」ということなんです。温度過昇防止というんですか? まあ、温度過昇防止になっていれば、空焼きして火事になることはないと思いますが。。。
大松: ちょっと待って、温度過昇防止が、空焼きしたときにも役に立つとは限らないよ。「万が一にも60℃以上にならない」というのをちょっと考えてみよう。
近山: 40℃で温調しているのに、60℃になるというのは、温調器がこわれたときですか。
大松: ふだん働いている温調器はこわれるかもしれないので、ふだんは働いていない温調器や温度フューズを使用して、温度が上がりすぎるのを防止するものだね。
近山: 人間の場合は、ふだん働いていないひとが、いざという時に働くことはないと思いますが。。。
大松: 温調器の場合、たとえばリレーの接点などはオン-オフのときに火花が出て、だんだん劣化していくけど、使わずにおいて劣化することは、環境が悪くなければ非常に少ないということなんだ。同じ機械でも、ふだん働いていない自動車は、バッテリーが上がったりして働けないけどね。
近山: 僕は温調器なのか? 自動車なのか???
大松: 。。。
近山: 40℃で温調している温調器がこわれると、オンのままで温度が上がっていくか、オフのままで温度が下がっていくか、どちらかになりますね。
大松: 温調器がこわれてオンのままで温度が上がって、60℃になったら温度過昇防止が働く、ということは、温度過昇防止も水の温度と同じになっている必要がある。
近山: 温度過昇防止も、温調器と同じように、ヒーターの温度が伝わりにくい場所に取り付ける必要がある、ということですね。


大松: 容器がプラスチックなら、温度過昇防止があっても、空焼きすればヒーターの温度が上がって危険になるね。温調器も温度過昇防止も、水がないと働けないんだ。
近山: やっぱり空焼き防止も必要になりますね。温度フューズが一番確実と聞いていますが、ヒーターの発熱部に温度フューズを取り付ければ、空焼きしても安心ですね。 わかりました~。お客さんのところに行ってきま~す。。。
大松: 待って待って、そんなに簡単でもないんだよ。
近山: ヒーターを空焼きすると、温度フューズが切れる。だから安全。ではないんですか?
大松: 切れるところまではいいとして、切れたら温度がすぐに下がるわけではないんだよね。
近山: わかるような気もしますが、、、
大松: まず、温度フューズの方。ヒーターの温度が急激に上がると、温度フューズの温度上昇は追いつけなくて遅れてしまいます。寒いところにあった温度計を、暖かいところに持っていっても、すぐには表示温度が上がらないのと同じですね。
ヒーターの方も、中から熱が出ているので、表面より中の温度が高くなっています。オフになっても、中の熱が残っていて、しばらくは温度が下がらないんです。
近山: 中の温度が高いのは地球と同じか。。。
大松: ともかく、温度フューズが切れてからも、温度フューズの温度は更に上がるし、もっと悪いことに、温度フューズや絶縁している材料の耐熱温度を超えてしまうと、こわれてショートして、オンになってしまう危険もあるんだ。


近山: 水がないのが空焼きだから、水がなければ電気が流れないようにすればいいんじゃないでしょうか? フロート式のスイッチがありますよね。
大松: そうそう、水位検知というのが一番だね。でも注意も必要だよ。フロート式のスイッチは、水の中の不純物がたまったりして、動かなくなることがけっこうあるんだ。
近山: 空焼きしないように注意するより、フロート式のスイッチに不純物がたまらないように注意する方が大変だった、ということになったら困りますよね。
大松: 他の方式、電極棒を使用したタイプなどもあるけど、メンテナンスフリーというわけではないし、非接触で測定するものもあるようだけど、ヒーターに付けるわけにもいかないよね。
近山: こんどのお客さんは実験用なので、容器に色々なものを付けてもらうのも、、、
大松: 他には、ヒーター発熱部にカバーを付けることでも、プラスチック容器が燃えたりする危険は防止できるよ。もちろん、よほど大きいカバーでなければ、空焼きの時間が長いと温度が上がってしまうけど。
近山: プラスチック容器よりカバーが大きいんじゃ困るなあ。いい方法はないですか?
大松: 「凍結防止用ヒーター」では、空焼き防止用の温度フューズは、ヒーターの発熱部から少し離れている、切れた後も温度が上がりすぎない位置に付けて、小型の発熱部カバーも付けて可燃物がそばにあっても安全なようにしてあるんだ。


近山: う~ん。。。
大松: あとは、容器の重さでスイッチを働かせて、水がないと軽いのでスイッチが切れる、というのも割と簡単だね。
近山: 実験用で簡単な方がいいんで、今回のものは、このような構造で打ち合わせてきます。
大松: あ、それから、微生物が入っているということだけど、水質が悪ければ、ワット密度を下げてヒーター表面に焼き付かないようにすることも忘れないで。。。
近山: わかりました~。行ってきま~す。。

登場人物は架空のものです。

次回につづく・・・